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XR1200テールカウル型の話。

純正取り付け穴を埋めてた粘土も取り除きました。
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無事抜けたテールカウル複製型。
なんかDIYのFRP作業者には差を見せつけてしまったようで申し訳無いが気にするな。
おれが天才なだけなんで。
プロだって失敗するヤツは、いるんだから。

実は、かなり前からノーマル形状の複製型 (ライダー側座面のみ)、持ってたんすよ。
板橋の武闘派FRP職人、G君が失敗したヤツをもらってたんだわ。
「ちょっとくっつけちゃって型を研いだヤツです。カドは丸まってるけど使えるはず、新しいの作り直したからいらないしあげます」
と、もらったのが右の写真のヤツな。
左が、おれが今回作った型。
こんだけカド丸めてたのかよ...。ま、カドがキツいと製品積層するのも難しいってのもあるけどな。


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ところで、おれの型は同業者に
「クマガイさんの型って綺麗ですよね」
と評判です。
ピカピカ磨いてあって? いやいや、綺麗だと言われるのは裏面。
ファイバーの積層が見えてる側。


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型だろうが製品だろうが、積層時に大切なのは繊維の厚さと樹脂の含浸量を全体均一にすること。
均一に積層すれば、原型の面構成がわかる感じの型になる。原型がひと回りふくらむ感じ。
右はG君の型。原型で平らな所が平らじゃ無いし、樹脂が余ってテカってる部分もある。

均一に積層しないと、何がマズいのかというと。
これはプラスチック全般の問題なんだけど、収縮や変形。


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XRオーナーなら、ちょっとココ見て。
インテークの後端だけど、面に微妙なヘコミがあるはず。



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裏側を見ると、取り付けネジのためにプラが複雑な形状。
つまり、プラの厚みが均一じゃ無い部分。そうすると、表面に収縮変形が出ちゃうんだわ。
コレは樹脂製品の宿命。オフロード車のPP製純正シュラウドなんかも裏に補強が板状に立ってるけど、それが表面側にわずかなヘコミとして出ちゃってたりする。

ま、FRPで型に使用する材料は、型専用のモノがあったりして変形を抑えてたりするんだけど。
丁寧に作業してマズい事なんて無い。
アフターパーツメーカーのFRP製品は型もFRPで作ってるけど、ヘタなショップの場合は型で変形して製品でさらに変形、って事になる。
ボルトオンパーツをキッチリ作るには、とにかく慎重に最初の複製型から作っていかなきゃいけない。
型には補強を入れたりもするんだけど、オフ車のシュラウドの例もあるので補強の入れ方にもコツがある。


G君の名誉のために言っておくと、あくまでももらった型は失敗したヤツだし、最近はかなり上手くなってきてる。
造形センスもあるし、アイツ、基本的に器用。カーボンの積層なんかは、間違いなくおれより上手い。

なによりG君の素晴らしいところは、わからない事があったらスグ聞きに来るところ。
この手の仕事って、けっこう独学ってヤツは多いんだけど (おれもそうだ)、プライドがジャマするのか他人に聞かないヤツが多い。
でも、カネもらって仕事としてやってるんだし、良いモノを作るためになりふりかまわず他人に聞くのも立派な向上心だよな。
ま、聞いたところで教えてくれないヤツも多いんだけどなー。
by hid_nyan | 2009-11-26 11:37
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